「材料アリストパネース」高橋宏幸劇評

図書新聞3048号「3.11からの距離感~2011年演劇回顧~」より抜粋
高橋宏幸/舞台批評


ラドママプロデュースの『材料アリストパネース』は、ほとんど上演されることがないギリシャ喜劇の『アカルナイの人々』や『雲』などをコラージュして、震災後間もない頃に上演した作品だ。そこでは、喜劇の本質である危機的状況と震災とが見事にリンクした。そもそもギリシャ喜劇のいくつかは、ペロポネソス戦争期に当時の偽政者クレオンを徹底的に批判するために作られたものだ。原発も単なる事故というだけでなく、政治的なものが含まれる以上、そこに普遍性はある。カタルシスを起こす悲劇論だけではなく、批判のための喜劇論の新たな可能性を見せた。